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吉原食糧株式会社
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さぬきの夢を知る

香川県産小麦とオーストラリア産小麦(ASW)について

オーストラリア産小麦の進出

昭和51年(1976)年の農林水産省のASW小麦の買付量は、食糧用20万t、飼料用40万t程度にすぎませんでした。
これは 当時の日本の小麦使用量からみて うどん用小麦の大体1/5程度のシェアであったと思われ、香川県においても昭和40年代頃までは香川県産小麦がうどんの原料として使用されてきました。
うどんの原料としてASWが主体になったのは「麦の安楽死」と言われ、日本の小麦生産が激減した昭和40年代以降、40年間程度の間ということになります。

製粉工場を戦後、復員して製粉工場を立ち上げた当社の故・吉原義男によると、初めてASWの小麦粉を麺業者に納品開始した当初、「うどんの色が白すぎて違和感がある。」と不評で「従来の県産小麦と交換してほしい」という声が強かったのです。
丁度、さぬきの夢2000が市場に出始めた今と逆の反応だったわけです。
いつの時代も、新しいモノの出現には、当初抵抗があるということで興味深い話ではあります。

さぬきの夢2000とオーストラリア産小麦(ASW)の特徴と差異

■ 小麦の澱粉質について

さぬきの夢2000は低アミロース系小麦であり、澱粉の特徴としてうどんとして独特のもちもち感を有します。又、うどんの風味と旨みという特性においてASWにない特徴を有しています。

低アミロースとは......

小麦に含まれる澱粉は、アミロース(分子)と、アミロペクチン(分子)とで構成されています。澱粉はブドウ糖がつながってできた炭水化物ですが、平たく言えば、つながり方によって一直線につながったアミロースと、枝分かれしたアミロペクチンの2種類に分けられます。
一般的に小麦での両者の含有比率は、アミロースが約25%、アミロペクチンでは約75%程度と考えられています。
アミロペクチンは、もち米の主成分であることからわかるように、もち感が強く粘い食感で、アミロースは粘さが少なく言わば歯切れの良いさらっとした食感特性を持っています。

小麦の澱粉が低アミロースであるということは、アミロペクチンの含有量が多い...つまりもちもち性(粘弾性)が強く、より滑らかな麺になるということです。
又、これは国内産小麦全体にほぼ共通して言えることですが、胚乳部の香り・味は外国産小麦に対してより強いという特性があります。
このことは、うどんに加工した場合でも言えることで、麺の風味・呈味性については澱粉の特性によるところが大きいのではないかと私は考えています。

■ 小麦のたんぱく質について

当社製粉工場による品質測定数値によると、さぬきの夢2000の粗たんぱく量はASWに比べ含有量が少なく、灰分値:0.38レベルの小麦粉で約7.5%程度(平成17年産)、ASWは同じ灰分値で8.8%程度である。グルテンの質の面から比較すると、ASWはさぬきの夢2000に比べ抗張力が強くしっかりとした弾力を持ち、両者にはかなりの差があります。
このグルテンの質の差は、うどん生地の状態で両者を比較するとよくわかります。さぬきの夢2000の生地は、練り直後はほどほどに締まって硬いが、ほどなく柔らかく伸びやすく変化していく。経時と共に、更に生地は軟化していきます。

ASWは、経時後もしっかりとした弾力を維持します。この差は、ファリノグラフの吸水率/安定度/弱化度、エキステンソグラフの伸長抵抗/伸長度/面積で数値的に確認することができます。
この生地特性の違い(グルテン質の違い)は、小麦たんぱく質の中の成分グリアジンの特性の差が大きい可能性も指摘されています。

このさぬきの夢2000のグリアジンの特性について、興味深い話があります。

■ さぬきの夢2000は、戦前の香川県産小麦と時を越えてつながっているのか

製粉工場を立ち上げた当社の故・吉原義男が太平洋戦争から復員後製粉を始めた昭和22年、新中長(しんちゅうなが)という品種を製粉した際、その小麦の色艶は輝くほどに見え、うどんに適した小麦として愛用していました。

新中長(しんちゅうなが)という品種(小麦の茎が長く、当時はわらぶきとしても重用されていたという)は、香川県で昭和8年に奨励品種として採用され、昭和31年まで23年間に渡り香川県で収穫されてきた小麦です。

そして、「柔らかく伸びやすい、軟化しやすい」というグリアジンの特性が、新中長とさぬきの夢2000で類似性があるのです。遺伝的なつながりがあるという可能性もあるかもしれません。
遺伝、云々の点はさておき、グルテンの物性が近いということは、当時の讃岐うどんも、さぬきの夢2000と同じような生地特性の小麦粉を使って作られていたということになります。

柔らかく軟化しやすい生地をいかに鍛えて、弾力を引き出すか。塩濃度と加水量、熟成時間、それらを微妙に調整し、体で生地の出来具合を感じながら、弾力が最高度に出てきたところで麺に切り落として、すぐに茹でて、出来立てを食する。
「弱」を「豪」に変える。その技が、讃岐の地でうどんを唯一無比の存在に育て上げていったのではないでしょうか。

だとしたら、輸入小麦ASWに合わせた製粉方式や、うどん製法では優れたうどんを作ることは難しいのではないでしょうか。さぬきの夢2000に合わせた、昔から培われてきた技術を織り込んだ新たな技術や考え方が必要なのではないでしょうか。
私は そう感じています。

掲載日 : 2007年6月19日