季節のたより


食欲の秋、食べものが一層美味しく感じるこの頃ですね。今回、小麦の外皮周辺の健康機能性について考えてみましょう。

皆さんは、小麦の一粒を実際に見たことはありますか?一粒約6mm程度しかない小さなものですが、太古の昔から小麦を粉砕した小麦粉は、私たちの食生活には欠かせない存在でした。


そんな小麦の構造は、大きく三つに分けられます。小麦の外皮(通称"表皮")である「小麦ふすま」、でん粉・たん白などを貯蔵している「胚乳」、そして小麦の芽となる部分である「胚芽」です。このうち、白い「胚乳」のみを取り出し粉砕したものが一般的な"小麦粉"です。  
小麦ふすまや胚芽はその食感や色、味の違いから小麦粉にはあまり用いられませんが、実はたくさんの健康成分を秘めているのです。今回は、小麦ふすまが人の健康に与える力について、少し詳しくお話しします。  


(1) 食物繊維

外皮である小麦ふすまには、食物繊維が豊富に存在しています。日本では、食物繊維は「人の消化酵素では消化されない食物中の難消化成分の総体」として定義されています。  
「消化されない」と聞くと、「なんだかお腹に悪そう...」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実は全くの逆です。繊維の形のまま腸まで届くので、腸内の有害物質を物理的に取り込み、排出を促しておなかの調子を整えてくれます。また、食物繊維は腸内で水を吸って膨らむため、便秘解消効果や満腹感が得られます。女性には嬉しい効果ですね。  

また、食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けることができ、小麦ふすまには不溶性食物繊維が多く含まれています。  
この不溶性食物繊維には、腸内の有用な菌の増殖を促進し、腸内の細菌バランスを改善するプレバイオティクス効果という働きがあります。  
このプレバイオティクス効果は食物繊維やオリゴ糖が持っており、宿主である人間に有用な作用をもたらす効果として利用されています。このようにたくさんの健康的な効果をもたらす食物繊維は、「第6の栄養素」とも呼ばれ、特定保健用食品にもよく使用されています。  
近年は特に若い世代の人たちの食物繊維摂取量が減少してきているため、積極的に取ることを心がけたいですね。  
しかし、小麦の皮の「ふすま」は、人にとっては美味しいとは言えない、"ざらざら"とした食感と、"独特の"ふすま臭"があるのが難点です。細かく粉砕して小麦粉に配合してもなかなか「美味しい!」という味覚には結びつかず、多くは配合できないのが現状です。  


(2) ポリフェノール  
 

小麦に含まれるもう一つの注目すべき健康成分、それはポリフェノールです。ポリフェノールとは、植物の外皮などに色素や渋み成分として多く存在する抗酸化物質で、大豆のイソフラボンやブドウのアントシアニンなどが有名です。そしてこの抗酸化物質とは、我々が体内で行うさまざまな代謝の一過程で生成される「活性酸素」の働きを抑制する作用を持った成分なのです。    
 
この「活性酸素」は、電子的に不安定な特性を持っていて、体内の脂質やDNAなどの様々な生体物質と反応、変質させることで、老化や疾病の一因となる酸素分子種として知られています。酸素なくしては生存できない生体が、自分の中で自らの細胞を不安定にする「活性酸素」を生むというは、自然の摂理とはいえ不思議でもあり、我々人間にとっては不可解に思えますね。    
 
その働きを抑える抗酸化成分を含有した食品を摂取する事により、血中の酸化ストレスを低減する事ができるとして最近は「ポリフェノール」が注目されているのです。この抗酸化成分の一つであるポリフェノールが、小麦にも豊富に含まれていることを、平成23年に吉原食糧と香川県食品産業技術センターの共同研究で明らかにしました。    
 
こうした小麦の持つ健康パワーを、普段の食生活にもおいしく効率的に取り入れたいものですね。    

(3) 美味しく健康志向の小麦粉「ぎゅっとポリフェ」

小麦粉の健康成分、特にポリフェノールに注目した吉原食糧の小麦粉「ぎゅっとポリフェ」は、美味しさと健康性を両立させるというコンセプトのもと開発された商品です。食物繊維やポリフェノールを従来よりも多く含みながら、小麦本来が持つ風味・旨味を最大限引き出しました。

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