「さぬきの夢2000」全粒粉配合のパンが誕生!
私が、石臼機をヨーロッパから導入したのが平成10年11月。もう10年も前のこと。
当時は、日本でもまだ石臼機を導入する製粉企業は少なく、数社程度だったと記憶しています。導入当初は、石臼挽き小麦粉の特性がまだまだ理解されず、細々生産する年月、しかし!!いつかは、地元の小麦を素朴に挽いて、風味豊かな食品を食べるというニーズが来る!この方向性は間違っていない!と信じてきた10年でした。^^;;;
過去数年、当社でのパン技術講習会で、石臼挽き小麦粉や全粒粉のいろいろなメニュー提案をさせて頂きましたが、この度 香川県パン組合の皆さんがいよいよさぬきの夢2000の石臼挽き全粒粉を使って、学給パンや自社のパン製品に活かそうということになり、今回のパン試作・評価会が行われました。
平成20年6月21日、この日は私にとって忘れられない日になりそうです。
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今回の試作・評価会では 4種のパンを焼きました。香川県パン組合の熱心な皆さんが集まって一致協力。セミハードパンや葡萄パンなど、さぬきの夢2000の全粒粉を30〜40%配合したパンを次々と焼きました。
セミハードパン、もちもち感が強く弾力があり、皆 その出来のよさに ビックリ! 時間をおいても風味と旨みが強く、適度な弾力が大好評。報道陣の皆さんも早速写真をパチリ!
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次は、レーズンパン。
全て抜群の焼き上がりで、皆さん大満足。こんなにさぬきの夢2000の全粒粉がパンとなって美味しいとは、私自身も想像をはるかに超えた出来栄えでした。
本当にすばらしい! 皆さんのプロの腕前が光った結果でもあります。スピーディー&的確なパンつくりの技術!
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どのパンも、香りが高く、旨みも強く仕上がりました。セミハードのような少々歯ごたえがあるパンは、特に噛む内に旨みが出てきて、まさに狙いとおり。学校給食でも子供たちはきっと美味しく食べることができるでしょう。
当社の「さぬきの夢2000のパン用全粒粉」の開発目的は、以下の2つです。
(1) 子供たちをはじめとする消費者の皆さんの健康性を高めることに資すること。
さぬきの夢2000の全粒粉は、食物繊維が通常の小麦粉の約5倍、カリウム・リン・鉄分など
ミネラルも約4〜5倍程度 含まれます。
(今回は、30〜40%の配合で試作評価しましたが、50%でもいけるという実感を持ちました。)
(2) 地元の小麦を大切に食べる
「地元香川県で小麦という穀物が採れる」という恵まれた環境に感謝し、消費を高め、香川県
の小麦生産の振興に寄与すること。
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私たち吉原食糧としては、香川県産の小麦粉を使った食品を消費者の方に美味しく食べて頂くことで、小麦の需要を高め、生産量を維持拡大につなげたいと思っています。
5年後10年後に来るかもしれない、穀物供給量の不安定化や安全面のリスク増大の時代の到来に備えて。
そのためには、売れる小麦を作らなければなりません。そして、そのためには売れる小麦粉、つまり売れる美味しく健康性と安全性の高い食品と次々に開発し、作っていく必要があります。
今回のパン組合の皆さんの真剣な取り組みは、私自身の「小麦を素材として見直し、新しい価値の小麦粉開発し普及させることができれば」という長い間の願いが、共に加工業者の皆様と努力することで実る兆しが見えてきたようで、本当に嬉しく思っています。
製粉技術としては、石臼挽きという素朴で原初的な製粉(sudden death)を用いながら、「さぬきの夢2000」の小麦特性をパンという食品の食感に合わせて、粒度や蛋白・澱粉質を調整し工夫しました。
今日のパン組合の皆さんの意見を聞きながら、さらに栄養性と食感と風味・旨みの改良していきたいと思っています。
香川県産小麦「さぬきの夢2000」はうどん用としては勿論、粉と製法を工夫すればとても美味しいパンにもなると思います。
実に1200年以上の歴史を持つ香川県の小麦であり、讃岐の食文化を営々と作り上げてきたのですから、現代においてもできるはず!
頑張ります!!