季節のたより

この「今昔 手延うどん」は、(株)甚助 佐伯社長が発想し、作り上げたユニークな企画のセット麺です。

現代最先端の食感を目指した「大吟醸・手延うどん」と、昔の手延うどんの復活を目指した「石臼挽き小麦粉の手延うどん」。「今昔 手延うどん」はこの2つをセットし、手延麺の歴史を食べて感じさせてくれる製品です。

「大吟穣うどん」は、麺のなめらかさ、麺の周辺は優れたもちもち感、中心部は適度な弾力があるという、ダイナミックな食感を実現しています。
甚助さんのご要望に応じて、吉原食糧は昨年9月、既に「最高レベルのうどん用の小麦粉」として当社でほぼ開発を終えていた小麦粉製品「讃岐プレミアム・オリジナル版」を提案。数多くの試作の末、「大吟醸・手延うどん」として製品化されました。そして、この「讃岐プレミアム」は、その後の当社ハイブリッド小麦粉の起点となったのです。

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(株)甚助 佐伯社長のこの商品へのこだわりは、ネーミングにも表れています。「大吟穣」.....よく見ると.......
お酒などの表現では「大吟醸」。この”醸(じょう)”は「醸造」からきています。
しかし、この麺は、「大吟穣」。そう、この「穣」は五穀豊穣から取っているのです。「豊穣」は、「穀物が豊かに実る」という意味があります。

麺の世界に、お酒の大吟醸的なイメージを持ち込んで表現し、味を追求したのは、(株)甚助 佐伯社長さんが日本で初めてで、その発想は私たちがお酒を軽く飲みながら企画を話合っていた時に、ふと生まれたのでした。^^;;;  まさに、”大吟醸”から生まれた”大吟穣”(笑)。

そして、「石臼挽き小麦粉」の手延うどん。この原料は香川県産小麦「さぬきの夢2000」100%。しかも、当社の石臼機で挽きました。一日挽いて、少量しか採れない世界で唯一「さぬきの夢2000」の石臼挽き小麦粉。

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(株)甚助さんにおける、石臼挽き小麦粉を使っての麺作りは本当に苦労の連続でした。さぬきの夢2000小麦のたんぱく量は、日本のうどんの主原料のオーストラリア産に比べ量は少ないですし、加えて生地にした時、グルテン質が柔らかく軟化しやすいのです。

でも、昭和40年代以前は、讃岐のうどんも小豆島の素麺も原料小麦は、もちろん香川県産で作られていたのです。もっともっと昔、文政2年の記録には、小豆島の草加部村の塩屋の買積船(かいつみせん)が、素麺や塩を下関や長崎で売り、帰りに九州の西北部から小麦や大豆を買い積んで小豆島に輸送している記録がありますが。

昔にできたことが、今 できないはずはない。
佐伯社長は、試作を繰り返しました。手延うどんは、手打ちうどんと違い、小麦粉生地を麺の細さまで延ばしていくのです。生地を切り落として麺線にするのではなく、少しづつ少しづつ生地を延ばして細い麺に仕上げる大変な作業です。石臼挽き小麦粉は、小麦を石臼で一回挽くだけのため、小麦の繊維質(セルロース)が豊富な分、細く延ばすのには高い技術が必要です。

しかし、甚助さんはやりとげました。限られた人しか作れない正真正銘の手作り麺。かつてなかった「今」と「昔」を結びつけるうどんのセット。
私たちが開催したイベント「讃岐うどんタイムカプセル」にも合い通じるコンセプトです。

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本当に優れた製品は、常に改良の努力をすることではじめて、高い評価を持続して頂くことができます。一度、良い評価を頂いたとしても、そのまま改良の努力をしなければ、当然評価は下がっていきます。まさに、製品は生きているのだと思います。

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小麦粉という素材も、丹精こめて、食味・食感や製品全体のイメージを頭に描きながら、開発や改良を続け、そして製麺の方々と一緒になって製品に磨きをかけていかなければ、消費者の皆様に満足して頂くことはできません。

私たちは、今後もうどんの原材料として、小麦粉の特性に更に磨きをかけ、その小麦粉から作られる麺が「逸品」であり続けるよう、素材提供の立場から商品作りのお手伝いさせて頂きます。


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