地域とともに

弊社 吉原良一は母校の香川県立丸亀高等学校で講義を行いました。 この講義は、丸亀高校のSGH(スーパーグローバルハイスクール)事業の一環で、「持続可能な社会の創造」という基本テーマに沿ったものです。



「なぜ さぬきうどんは全国で人気を得たのか」から始まり、さぬきうどんとオーストラリア産小麦の歴史的な関係、世界の穀物の現状と課題として・・・2050年 90億人食料問題(需要の質の変化と増加)、農業の生産性向上率の鈍化、コモディティー商品(実物資産を対象にした金融商品)価格の世界的な下落、世界の水の問題、農業と環境問題、貿易協定の現状、GMO作物に関する日本の考え方と対応などを話しました。



例えば、身近な水・・・世界の水の問題は差し迫っており、例えば1kgの小麦を生産するのに1,150kgの水が必要です(UNESCOの資料による)。小麦を輸出することは水を輸出していることにもなります。世界の人口が急増する予測の中(2000年から50年間で、32億人の増加=現在の日本が26国増える計算になる)、「水のストレス」は世界の食料生産の大きな制約要因になると考えられ、土地(耕地)の能力を持続させながら、水の保全や環境への適応を考えていくことが更に重要になるでしょう。



又、日本人の主食であり、国際商品でもある輸入小麦(日本の小麦消費の約86%を占める=自給率が低い)は、ひいては、今 先進国で激しくなっている政治の動きの根にある、グローバル経済(国際分業の思想)の成否と今後の動向に、無関係ではいられませんし、現状として各国との貿易交渉において、常に米と麦は日本にとって重要な交渉品目となっています。



生徒の皆さんには、これら様々な分野の多くの課題、問題点について、単なる傍観者、評論の立場ではなく、自分自身の問題として関心を持ち、考えてほしいと伝えました。そうすれば、例えば日本で問題になっている、本来まだ食べられる食品の膨大な量の廃棄や食べ残しの「食品ロス」の問題も、もっと真剣味を持って身近なこととして考えることに繋がるかもしれません。

本講義の目的として、さぬきうどんを皮切りに日本と世界の小麦の現状と、持続可能な農業を考えるにあたってのポイントを列挙してまず知ってもらい、生徒の皆さんの中に問題意識の種を播くことに重点を置きました。
その種の中から生徒の皆さんが何に興味を持ち、理解を深めて(育てて)いくか、今後楽しみです。


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