どうなる日本の食糧

国際穀物相場に、世界の覇権をめぐる政治要素が影響を与える時代が到来した。
相場の変動に、需給バランス以外に様々な不確定要素が強く絡むようになり、穀物の輸入国にとっては、より難しい市場になってきている。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2018年7月の今、国際小麦相場が徐々に上昇している。コーンは大豊作、大豆は米中貿易摩擦リスクをはらみながらどちらも値下がるが、小麦のみ独歩高。小麦相場を振り返ってみると、2012年の米国の高温・乾燥により、とうもろこし・大豆の供給懸念から高騰する中で、小麦も2008年の最高値に次ぐ高騰となった。以来、右肩下がりに値下がりが続いたが、5年ぶりの2017年に反転の兆しが見え、2018年は徐々に価格が上昇している。  

穀物相場の変動には需給バランス以外に、投機の影響が大きい。今、小麦の世界在庫は潤沢であるにもかかわらず、相場は上がる。マネーの動きが激しい。相場が下がるトウモロコシにさえ変動率の拡大によって利益を増す妙味が高まり、マネーが流入していると聞く。  

最近の米国・中国の大豆問題によって、結果がどうであれ穀物が政治マターに使われることを露骨に示した。小麦も含めて穀物は国際商品であると共に、戦略物資でもあるのだ。  

又、小麦の国際市場では近年、新興国の経済成長により成長国による良質の小麦への需要は高まっている。供給側の小麦生産国は、より高い価格を求めて売り先を選択しようとし、従来のように量を多く買えば必ずしも安く手に入るとは限らない時代になった。特に希少な小麦銘柄は相場が高止まりしがちだ。


小麦はコメと共に日本の主食であり、その85%を輸入に頼る。  
日本の小麦輸入は、年間に必要な小麦の量の確保と、小麦品質と安全性の確保を目的として国家貿易によって行われている。日本の国家貿易制度は、ウルグアイラウンドからWTOへと進んできた世界の貿易自由化の潮流に対応すべく、国際規律に沿う方向へと様々な見直しが行われてきた。その方向性の中に国内産小麦の生産振興や、製粉産業の体質強化の政策が在る。  

一方で、前述のように世界の貿易の潮流は少しずつ変化している。かつてのグローバル経済信奉、国際分業論は近年見直しの傾向が出てきている。  

価格の安さだけを追い求めるのでは、産業全体を疲弊させ、活力を弱める。  
来るTPP11や各国とのEPAの締結を受けて、国内産小麦の価値を高め、その振興の先にある”新しい価値”の食品市場の形成が今、必要とされているのではないだろうか。
そして、全国各地に立地する製粉企業から成る製粉産業のあるべき姿を描き、ひいては輸入品とは一線を画す、日本ならではの小麦粉加工食品の開発と市場形成を実現するための新たな視点が求められているのではないかと思う。


どうなる日本の食糧の記事一覧