どうなる日本の食糧

穀物の国際市場価格は上昇を続けています。

米国が、バイオエタノールなど非食糧用途への穀物利用に本腰を入れ、人類未体験の世界的好景気とも言われる過熱的な市場に溢れる潤沢なマネーがその動きをとらえた時、”食糧の世界”は大きく構造的に変化しました。

穀物の需要と供給のバランスによって価格が決まる従来の方式が崩れ、ファンドの思惑が大きく相場を動かす影響力が急速に大きくなったように見えます。

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  【ススキと秋の讃岐富士】

その結果、穀物が豊作になれば価格は下がるという常識が通じない場面が現れ始めました。特定の地域の豊作はすでに、マーケットは織り込み済みであり、長期的に穀物全体は不足するという読みから、ファンドは虎視眈々と買いを狙い、価格を上げた後、一挙に売って運用益を上げるのです。【続く】

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値動きがあるから、儲けのチャンスがあるという。穀物を食糧用でなく、非食糧用途も含めて「待ちの姿勢」で高値で売ろうとする穀物生産者。バイイング・パワーとセリング・パワーのバランスが入れ替わりつつあるとも言えるし、何を、いつ売るのか、農業生産者が決める構造が生まれてきたとも言えます。

10年程前から、世界の穀物相場にも投機的動きがあるということは、私たち製粉業界でも話題に上がることはありました。又2年ほど前に私は今後穀物価格は上昇し、下がる要因はあまり見当たらないのでは、とはみていました。しかし、ここまで穀物のシカゴ相場が継続的に急上昇する状況は想像しなかった。

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コンピュータ・ネットワークの発達により、マネーが瞬時に世界中を駆け回るようになった21世紀。儲けの対象を変えながら、瞬時に食いつき、すばやく離れる。米国が主導して広げてきたコンピュータ・ネットワークと、経済と金融のグローバル化。その成果ともいえるマネーの激流が世界中を覆い始めていると言っても過言ではないでしょう。

さて、食糧における国の機能論とは。 イスラエルと共に、世界の中でも稀な「国家貿易」制度をとる日本。 このような激しいマーケットの動きの中で、国家貿易の働きとは? それは、消費者のためになるのでしょうか。日本の食品産業と流通の将来にどう作用するのでしょうか。

穀物市場が戦後かつてない状況にある今、くっきりと浮かび上がり始めた「国家貿易」の働きと効果。 とても大きなテーマですが、このコーナーで考えていきたいと思います。

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【映画「UDON」のロケ現場を遠くに望んで。今は誰もいない、元の静かな讃岐の原風景です。】


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