さぬきうどんの名人たち

香川県東部に今も残る讃岐うどんの一つの「原型」。
私は、谷川さんのうどんを食べるといつもそう思います。
しかし、決して!!麺の色が濃く、硬めの食感という「田舎うどん」ではないのです。
むしろ、最新・最先端のうどん用小麦粉を使用した洗練された(ソフィスティケーティッド!! )うどんと言えるでしょう。



冬期には、近くの山間で捕った猪の肉が入った野性味あふれる“しっぽく“のだしと具という雰囲気によって、田舎風の素朴なうどんと思い込んでしまうのかもしれません。しかし実は、麺は田舎風ではない!その対極にある洗練型であるということなのです。
その証拠に、釜からあがって奥さんが水洗いしているうどんを見てみてください。その輝くようなうどんの色調と光沢を! これを見逃してはいけません。

できれば、麺そのものを少々の醤油と、テーブルの特製・一味(唐辛子)で食べてみてください。
「洗練型(ソフィスティケーティッド)うどん」という意味がわかってもらえるでしょう。麺だけの食べ方は、後半で説明します(うどんの替え玉)。

では、なぜ私は“香川の東部に今も残る讃岐うどんの一つの「原型」”と思うのでしょうか?
それは谷川さんの製法、練りと打ち方が「原型」を感じさせるのです。谷川流手打ち技法。




朝4時頃から準備する、独特の生地の練り具合。長い麺棒で、通常の生地のほぼ倍の重量を一度に打つ。その麺棒と生地のさばきと力の加え方。麺台の「高さ」も実は、谷川うどんの独特の食感と関係していると、私はにらんでいます。
このグルテン質の鍛え方(昔流に言うと”フの出し方”)が、まさに谷川流だと思うのです。

(注:今回の谷川製麺所は高松市東植田町にあり、琴南町の谷川米穀店とは違います。)

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谷川うどんの屋根は青色。
しかし、これは最近。



私は現在のご主人のご両親の時代からお付き合いを頂いていますが、今は引退されたお母さんが現役で活躍されていた頃、いろいろ昔の讃岐うどんの話を聞かせてもらいました。印象的だったのは、うどんの「旨み」についての話でした。

今は、息子さんのご主人と奥さんが中心となり、そしてお父さんがお手伝いして、うどんを作っておられます。香川県東部に伝わる讃岐うどん技法.....昭和30年代からの谷川流技術と、ご主人の“今”感覚が相まって、現在の谷川製麺所のうどんが完成されたと私は思うのです。


【これが有名な谷川流”しっぽくうどん”】


全国のマスコミにも紹介され、すっかり有名になった谷川さんですが、昔も今も変わらず、谷川流讃岐うどんを作り続けています。
お昼頃には、郵便局の配達の人や近所に人、それから県外の人と沢山の人たちが続々と集まってきます。しっぽくの具を、それぞれが好きなだけかけて、「いただきま〜す。」

最近、うどんの替え玉も始めています。うどんだけ味わうには、しっぽくの後、うどんだけに醤油を少々 垂らして食べると満足度がさらにアップするかも。


【谷川さん】


新旧の技術と感覚の融合体。日々繰り返し肉体で麺打ちをしながら、掘り下げる技術と感覚。
ご本人は、「毎日、繰り返し、ただ打つだけです。」とおっしゃるが、黙々と打つ姿からは、ある種の「気」を感じます。手打ちの名人たちは、皆さん、それぞれ独特の「気」を感じさせます。
例えば、楽器の名演奏者はその人独特の音色を出します。そして、楽器を変えても、やはりその人独特の音色に聴こえます。
私は、手打ちうどんの名人にも同じことを感じています。どんな小麦粉を使っても、名人はその人ならではの味を出すものです。意識的か、無意識にか、その小麦粉に合う打ち方をするのでしょう。

しかし、一般の人にはその味の差がわからないほど微妙であっても実は、名人は小麦粉による麺の違いをはっきり認識しています。その微妙なポイントを常に感じて、技術と粉の掛け合いによってできる「自分だけのうどん」を探し求めているのが、日々の名人たちの姿ではないでしょうか。


谷川流うどんを是非、一度食べてみてください。
しっぽくの具とだしや、テーブル上の特製・一味も、マスコミの紹介で今ではすっかり有名となりましたが、まず香川東部の内陸にある、洗練型(ソフィスティケーティッド)うどんの姿を見て、麺の食感と食味を味わってください。




ところで。これ 何かわかります?  
レッド・ホット・チリペッパーズ??(笑)


これは、谷川さん宅の特性”一味”の元の唐辛子です。もちろん 自宅の畑で作っているもの。
奥さんに「かじってみる?」と勧められましたが、遠慮しちゃいました。
だって、直接食べたら舌の痺れが一週間続きそうですから(笑)
それ位 谷川さんのところの手製”一味”は辛くて美味しい。けんちん汁にぴったり。
その一味はこれ。
【秘密】 よ〜く容器を見ると..................野々村真.........「持ち出し禁止」が.......石田靖(芸人)。
どういうこと??(爆)




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谷川製麺所

● 住所  
香川県高松市東植田町2139−1  

● Tel : 087-849-1628
● Fax : 087-849-1828  

● 営業時間  
(平日)11:00〜14:00  
(土)11:00〜14:00  
(日・祝)11:00〜14:00


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