うどんの話

小麦は、成熟期の初期には50%位、その後は序々に減り、刈り取り時期には20%程度になります。香川県のさぬきの夢2000は、カントリー・エレベーターという施設で、熱風乾燥されて出荷時の水分規格は12%を基準とします。収穫地の気候や水分乾燥調整などにもよりますが、私たちの製粉工場に入庫した時のオーストラリアの小麦(ASW)は8〜9%、カナダ・米国のパン用強力小麦は10〜11%位です。オーストラリアで実際に畑や保管場所を見てきましたが、乾燥した気候により、刈り取り前で早くも十分 豊かな陽光によって乾燥が進んでいる様子で、茎はパキパキとした乾燥状態でした。

小麦粉の水分規格は、14%が基準です。
製粉工程で、小麦に適量を加水し、一定時間タンク内でおく「調質」という工程があります。

その目的は。
(1) 小麦の皮部に水分を浸透させ、小麦粉となる胚乳部と皮部の分離を良くするため。
(2) 皮部が水分を含むことにより、小麦を粉砕した時に皮部が細かく砕けて飛散するの
を抑えるため。

冬期になると、私たちの工場ではお湯を加水し、粉砕工程に入る30分位前に蒸気を小麦に軽くかけます。これにより、小麦全体が温まって軟化すると同時に、皮部と胚乳部の温度に差ができ、皮部の分離がしやすくなるのです。

小麦粉製品の水分が基準値14%になるよう、加水をします。これは、製粉においてはとても重要な肯定で、どれだけの加水を行い、何時間小麦を寝かすかによって製粉歩留(投入した小麦に対し、採れた小麦粉の重量比率)が、違ってきますし、小麦粉の品質にも影響を与えます。

私たちの工場では、熟練の加水担当者の"頭の中"にある季節別・原料の水分値毎の加水設定をコンピュータ制御に入れ込んで、小麦がタンクから出てくる時の目標水分を入力すれば、限りなく目標水分に近づける「自動制御加水システム」を作りました。これにより、年間を通じて小麦粉の水分値はとても安定しています。
また、小麦を挽いて直ぐの小麦粉は水分安定化や自然酸化が進んでおらず安定した状態ではありません。製粉工程で小麦粉の粒子に空気が触れて酸化が進み、大体 3〜5日で安定するといわれています。
例えば、「挽きたて」が、どの程度の時間経過を指すのかは定義がありませんが、少なくとも製粉後3〜5日以上は置いて自然酸化が進み、水分も含めて小麦粉の状態が安定するのを待つのが正解です。

そして、うどんの生地が、従来と同じ加水量なのに、べたつく時は小麦粉の水分が多いことも多少は影響しますが、小麦粉の吸水率が低いことが主原因となります。これは、小麦粉中のグルテンを中心とした吸水力が少ないために水を吸いきれず、生地が柔らかくなり、表面がべたつくのです。


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