さぬきの夢を知る

【平成8年 自主栽培した低アミロース系小麦(小豆島)】

終戦直後の昭和22年、吉原食糧は香川県産小麦「新中長(しんちゅうなが)」をさぬきうどん用小麦粉として製粉していました。その輝くような小麦粉の色調は素晴らしかったと、当時の製粉責任者は何度も語っていました。

その後、香川県産の農林26号、ジュンレイコムギ、セトコムギ、ダイチノミノリ等を製粉してきましたが、昭和40年代に輸入されるようになったオーストラリア産小麦(ASW)と比較できる品質ではありませんでした。それでもなんとか、県産小麦を売れる食品として成功させるという気持ちは消えず、それならと菓子の開発に取り組みました。
平成6年、吉原食糧はJA香川県の製パン・製菓工場「大川食品」と共同で、香川県産小麦「ダイチノミノリ」100%のカステラ「大地」を開発・販売し、平成10年に農林水産省食品流通局長賞を受賞しました。
しかし、さぬきうどん用として香川県産小麦を使用したいという思いは高まるばかりでした。

平成7年、農業試験場でたまたま入手した国内産小麦の粉。持ち帰って製麺したところ、そのもちもち性の食感と風味の良さに衝撃を受けました。それまでの、香川県産小麦とは全く異なる食感・食味だったのです。
そして平成8年、吉原食糧は後の「さぬきの夢2000」の母系になるその低アミロース系小麦を小豆島・肥土山で自主栽培をしました。そのもちもち性の素晴らしさに注目し、将来有望な小麦品種となると確信したからです。

種子を入手し、農家に畑を借り、種を植え、収穫しテスト的に製粉を実施しました。それは結構大変な作業でしたが、ここから吉原食糧の今につながる「21世紀の香川県産小麦」への取組みが始まったのです。後になってわかったことですが、その低アミロース系小麦と「新中長」小麦の遺伝子特性は、小麦開発者によって「さぬきの夢2000」に引き継がれています。

そして「さぬきの夢2000」誕生。
クリーミーな色調、なめらかさに富み、もちもち性と適度な弾力性の融合。そして風味。  
さぬきうどんに適した画期的な小麦「さぬきの夢2000」が品種登録されたのは2000年(平成12年)のこと。全国でその品質が高く評価され、オーストラリア産小麦と比肩されるほどのうどんの美味しさを実現した香川県産小麦がここに初めて誕生したのです。

当社の「さぬきの夢2000」小麦開発への取り組みはNHK番組「プロジェクトX」でも紹介されました。

2009年には品種改良されたさぬきの夢2009が登場し、生地の伸び(たん白質 グリアジンの伸展性)が改良され、製麺適性は格段に良くなりました。当社のさぬきの夢小麦粉は打ちやすく、もちもち性と適度な弾力性のあるダイナミックな食感に加え風味も良く、現在全国のうどん店、ラーメン店で愛用されています。

吉原食糧では「さぬきの夢」をうどん用のみならず、菓子用途にも小麦粉を開発し、さぬきの夢で作るフランス菓子のレシピ本「とびきりのフランス菓子」を刊行しました。20年以上前、カステラを開発していた頃とは隔世の感があります。
また、香川県産小麦の機能性に着目し、高い抗酸化性を有す小麦粉「ぎゅっとポリフェ」、甘い小麦胚芽の粉体「スウィートポリフェ(D)」を開発し、吉原食糧は「さぬきの夢」小麦の更なる可能性を広げています。


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