Q3. 全部一緒?砂糖、でんぷん、食物繊維!
「糖」が生み出すいろいろな物質
ここでの「糖」はブドウ糖(=グルコース)をさします。グルコースはそれ以上分解できない最小の糖なので「単糖」に分類されます。でんぷんや食物繊維など上記の物質はすべて「単糖」のグルコースが複数個結合した「多糖」です。
つまり、糖質であるでんぷんや砂糖も、食物繊維である植物の細胞壁(セルロース)や大麦β-グルカンも 全てグルコースからできた多糖なのです。
同じ多糖の「糖質」と「食物繊維」その違いは
でんぷんや砂糖などの糖質は沢山のブドウ糖(=グルコース)が「アルファ結合」で繋がっています。
一方、ごぼうや麦などに多い食物繊維はグルコース同士が「ベータ結合」で繋がっています。
どちらもグルコースが多数結合した多糖なので、分解されると単糖のグルコースに戻ります。
ヒトは食事で摂取した大きな物質(多糖)をそのままエネルギーとして使うことはできないので、唾液や胃液などに含まれる消化酵素(アミラーゼなど)を使って小さく分解し、単糖となったグルコースをエネルギーとします。
しかし、ヒトはアルファ結合を分解する酵素は持っていますが、ベータ結合を分解する酵素は持っていません。また、アルファ結合を分解する酵素ではベータ結合を切ることはできません。
したがって、同じグルコースから生まれた糖質と食物繊維ですが 糖質は分解してエネルギーに変換できるのに対し、食物繊維は分解できないのでそのまま便として体外に排出されます。
※食物繊維の一部は腸内細菌が分解するので全くエネルギーにならないわけではありません。
グルコースに分解できるでんぷんなどの糖質は消化管内、血液中へと移動し、細胞に到達することではじめてエネルギーとなります。その仮定で血液中にグルコースが多くなりすぎると高血糖を引き起こす原因になります。
食物繊維は分解できないのでほとんどエネルギーにはなりませんが、その代わりに老廃物や有害物質が体外に排出される手助けをしたり、必要以上に摂ってしまった糖が体に悪影響を及ぼすのを阻止するといった機能をもっています。
まとめ
「全部一緒?砂糖、でんぷん、食物繊維!」
結合の種類が違うだけで、人のエネルギー源となる砂糖・でんぷんも、体の調子を整える食物繊維も 同じグルコースからできているというのは、なんとも化学の目で見ると不思議ですね。
糖質は人の活動に欠かせないエネルギー源となる重要な栄養素です。行き過ぎた糖質カットは体調不良などを引き起こし兼ねません。
もし、糖質の摂りすぎが気になるのなら 食物繊維を多めに摂ってみるのはいかがでしょうか。
ひとくくりの「炭水化物」ですが、糖質・食物繊維それぞれの長所を生かし 両方をバランスの良く摂る食事を心がけてみましょう。
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